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Pignolo

ピニョーロ

ピニョーロ (Pignolo)
                                                                                                                                                                                                                                                                       
ブドウの種別
歴史/概要/解説 歴史:ピニョーロは、フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州原産の歴史的な黒ブドウ品種の一つである。ピニョーロという名称は、Pigna(ピーニャ=松かさ)に由来する。ブドウの実がコンパクトでまとまりがあり、その形状が松かさに似ていることからこの呼称になったと考えられる。
その歴史は1300年代まで遡り、フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州の東側ロザッツォの狭いエリアの丘陵地で栽培されていたという。神父ジョバッタ・ミキエーリ氏の書いた賛歌『フリウリのバッカス』の中にもピニョーロのワインが登場している。またロザッツォのカトリック修道院においてもブドウの植樹が確認されており、1700年代には「ピニョーロ、漆黒の素晴らしきワイン」と様々な文献で評価された。1800年代、Pignùl(ピニュル)とも地元では呼ばれるようになり、1823年にはロンバルド=ヴェネト王国(1815-1866)のブドウ品種カタログにもフリウリの品種として記載された。
生産力の低さやオイディオ病(葉や実に白い粉のようなものが付着する病気)への耐性の弱さから徐々に栽培の規模は縮小していき、重ねてフィロキセラ禍(※)の影響から1900年代初頭にはほぼ絶滅するにまで至った。※フィロキセラ禍・・・1800年代後半に欧州をはじめ世界中のブドウ樹に大打撃を与えた小害虫の蔓延
1970年代、国内で“失われた土着品種の再生”の動きが広がり徐々に復活の兆しが見えるようになると、1981年、フィロキセラの厄災を逃れた100年以上の樹齢のピニョーロの樹がロザッツォ修道院で奇跡的に発見され、栽培家たちが植え替えを行った。
ピニョーロは情熱的な現代の栽培家たちによってその歴史が守られることとなり、他の黒ブドウ品種、Schioppettino(スキオッペッティーノ)やTazzelenghe(タッツェレンゲ)などと共にフリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州の典型的土着品種の一つとしてその価値を誇っている。
1977年にイタリア全国ブドウ品種登録書に登録された。Pignola Nera(ピニョーラ・ネーラ)、Pignola Valtellinese(ピニョーラ・ヴァルテッリネーゼ)らの品種とは無関係である。1995年よりDOCフリウリ・コッリ・オリエンターリにおいてピニョーロ種100%のワインが認められている。

房:果房は小さな円筒形、コンパクト。果粒の大きさは中程度か小さめで丸みを帯びている。皮はやや厚めで硬い。濃い青黒色で、表面は蠟質の白い粉で覆われている。通常10月中旬頃に成熟する。

葉:大きさはやや小さめ。通常、三裂しており深い緑色。厚さは薄いが、強い。

外観:今回のサンプルはヴィンテージの幅が大きかったため、色調は紫がかったものからレンガ色がかったものまで、さらに濃淡にもばらつきがあったが、基本的にリリースされて間もないピニョーロは紫がかった濃いルビー色であると思われる。粘性は強い。
栽培面積(ヘクタール) 93 ha
シノニム Pignul
原産地呼称 DOC Friuli Colli Orientali/DOC Friuli Isonzo
ワインの特徴 しっかりした構成でアルコール感を感じるワインとなるが、酸がバランスを整えている。充実したタンニンが特徴的。木樽での熟成に定評があり、長期熟成させるタイプが一般的である。
香りの要素 フルーツとハーブ、スパイスの香りが特徴的。赤や黒のベリー類(イチゴ、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリーなど )やカシス、プラム、ブラックチェリーなどのよく熟した香りを中心とし、ミントなどのハーブ、ペッパーや甘草、クローブなどのスパイスの要素がある。ときに動物的な香りも感じられた。
Vino Hayashi
サジェスチョン
(アッビナメント)
Stracotto di manzo(牛肉の煮込み)/Goulash(グーラッシュ:牛肉をパプリカパウダーで煮込んだハンガリー料理)。
牛やヤギの熟成タイプのチーズ/赤身肉のグリル/低温調理の赤身肉/ヤギや猪肉のジビエなど。
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