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Pecorino

ペコリーノ

ペコリーノ (Pecorino)
                                                                                                                                                                                                                                                                       
ブドウの種別
歴史/概要/解説 歴史:ペコリーノはマルケ州の古いブドウ品種である。1875年のブドウ品種公報に証言されている通り、栽培エリアは主にシビッリーニ山稜に広がっている。ペコリーノ種は毎年の収量が安定しているものの強く塩味が現れるため醸造が難しく、より収量の多いトレッビアーノ種や国際品種の方が優先され、20世紀の間にペコリーノはアルクアータ谷に追いやられた。ようやく1980年代の終わりになって、グイード・コッチ・グリフォーニ氏のおかげでマルケ州アスコリ・ピチェーノ県のオッフィーダやリパトランゾーネにおいて再び栽培が見直されるようになった。
ブドウ品種学者ディ・ロヴァゼンダ氏(1877年)、マルゾット氏(1925年)及びブルーニ氏(1962年)の資料によると、ペコリーノは様々な名前で知られていたことがわかり、そのうちのいくつかは原産地を思わせる呼び名であった。ペコリーナ・アルクアータネッラやアルクイターノの呼び名はアルクアータ地域に由来し、一方で、ウーヴァ・ペコリーナ、ウーヴァ・デッレ・ペーコレ(羊のブドウの意)という呼び名はこの地域に広まっていた牧畜業に由来していると考えられる。
ペコリーノの名前も羊(ペーコラ)に由来していることは想像できるが、それに関しては2説ある。1つ目は房の形が羊に似ているため、ペコリーノという名となった説である。房にある一つの翼(岐肩)は羊の頭、コンパクトな果粒は羊のチリチリした毛を思い出させるので、房全体が横から見た羊の形に似ている、というもの。2つ目は毎年冬に羊飼いが雪を被った山から海岸沿いにある牧草地に羊を連れて行く際、移動中に羊が甘いペコリーノ種に興味を持ち、食べていたことからきているとする説である。
ブドウ品種学者アチェルビ氏(1825年)によると、トスカーナ州にも存在しドルチパッポラの名で知られていると証言した。また、栽培エリアとの関連性から、現在ではヴィッサネッロ(マルケ州マチェラータ県ヴィッソ)及びノルチーノ(ウンブリア州ペルージャ県ノルチャ)もシノニムであると考えられている。1970年にイタリア全国ブドウ品種記録書に登録された。

房:大きさは中程度で、円筒形あるいは円筒円錐形。さほど密着型ではなく、岐肩が1つある場合がある。果粒は球型、中程度の大きさまたは小型。果皮は薄いが、しっかりしている。表面が蝋質の粉で覆われており、色は黄色っぽく、時に茶色の斑点がある。比較的早めに成熟するので、収穫の時期は通常9月の頭となる。

葉:葉の大きさは中程度、丸みを帯びており、裂はないか三裂している。濃い緑色で、葉の表面に毛はない。

外観:濃淡は中程度~やや淡い、グリーンイエロー~レモンイエローの色調のものが多い。樽熟成させたものはやや濃く、黄金色の輝きをもっていた。
栽培面積(ヘクタール) 1114 ha(2010年)
シノニム Pecorina Arquatanella/Arquitano/Promotico/Uva Pecorina/Uva delle Pecore/ Vecià/Vissanello/Norcino/Pecorino di Osimo/Moscianello/Dolcipappola
原産地呼称 DOCG Offida/DOC Falerio/DOC Abruzzo/DOC Terre Tollesi/DOC Controguerra/DOC Colli Maceratesi
ワインの特徴 酸とミネラルに特徴が感じられる。しっかりとした酸のボリュームをもち、その酸は後半まで長く伸びる傾向がある。余韻にはミネラルと思われる苦味や塩味が印象的だった。香りで感じられた柑橘のようなフレーバーにハーブの清涼感があり、さわやかな味わいのものが多い。
香りの要素 多くは柑橘の香りが感じられた。グレープフルーツ、レモン、ライムなど。中には和柑橘(カボス、ユズなど)を連想させるものもあった。続いて、セージ、バジル、ミント、ディル、セルフィーユなどのハーブ香が印象的で、フローラルな香りもある。ホワイトペッパーのようなスパイス、火打ち石や石灰のようなミネラル香が感じられるものもあった。
Vino Hayashi
サジェスチョン
(アッビナメント)
Frittura di Paranza(地魚のフリット)/Coniglio alla Cacciatora(ウサギの猟師風煮込み)/Brodetto di Pesce(魚介のブロデット(スープ))/Primi Piatti al Tartufo Nero o ai Funghi(黒トリュフやキノコのパスタ)/Stoccafisso all'Anconetara(干しダラのアンコーナ風)/Coniglio in Porchetta(ウサギのポルケッタ)/Olive all'Ascolana(オリーブの肉詰めフライ)/Vincisgrassi(マルケ風ラザーニャ)/Pecorino(ペコリーノ・チーズ)/Casciotta d'Urbino(カショッタ・ドゥルビーノ(ウルビーノ産羊のチーズ))/Formaggio di Fossa(フォルマッジョ・ディ・フォッサ(地下の穴で寝かせた熟成ペコリーノ・チーズ))
魚介料理/刺身/鶏やウサギなどの白身の肉料理/白身魚や甲殻類のグリル/ソフトタイプのチーズ。
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