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Nero d'Avola

ネ ロ・ダ ー ヴ ォラ

ネロ・ダーヴォラ (Nero d’Avola)
                                                                                                                                                                                                                                                                       
ブドウの種別
歴史/概要/解説 歴史:ネロ・ダーヴォラは、主にシチリア州の全域で栽培されている土着の黒ブドウ品種である。他の多くのブドウ品種と同様にギリシャ人による植民地時代にシチリアへ持ち込まれたとされる。伝統的なアルベレッロ式の栽培は、その古代の起源の記憶を現代に留めている。
その名のNero d'Avolaは、“アーヴォラの黒”を意味し、アーヴォラ界隈のノートやパキーノ、エローロなどシラクーザの南のエリアが原産とされる。この地域では、乾燥した気候と海からの穏やかな風、天候を安定させる山の存在などのミクロクリマが存在し、ネロ・ダーヴォラ栽培の最良の環境となっている。
また、ネロ・ダーヴォラの正式な品種名称はカラブレーゼとなり、イタリア全国ブドウ品種登録書にもカラブレーゼとして登録されている。その名からカラブリア州原産と連想されることが多々あるが、カラブリア地方へ海峡を越え栽培されていたとする歴史的な痕跡は無い。一方でCalabreseの語源はシチリア方言におけるCalaulisi、Calarvisiに由来する。これはRadicicalau、Aula(Avola)から派生した言葉とされ、すなわちアーヴォラのブドウを意味している。
歴史的に特筆すべきこととしては、1800年代から近代にかけてネロ・ダーヴォラは安価であったこともあり、国内やフランスへいわゆる“混ぜ物”として大量に売られ、その地方の軽いワインへ色合いとボディを加える目的で混醸されていた。素晴らしいポテンシャルを持ちながらも独自のアイデンティティを持てずに日の目を見なかった時代があるブドウであるが、近年ではそのイメージも払拭されシチリアを代表する黒ブドウ品種の地位を確立した。低収量や正確な醸造において、ネロ・ダーヴォラは伝統的なその暖かい果実味やストラクチャーに上品さを纏い、晴れて世界に認められるワインを輩出するようになったのである。 1970年にイタリア全国ブドウ品種登録書に登録された。

房:果房は中程度かやや大きめ、円錐形でややコンパクトな形状。果粒の大きさは中程度でやや楕円形の形をしている。皮は中程度の厚さで、青みがかった紫色をしている。通常9月初旬から中旬頃にかけて成熟する。

葉:大きさは中型。丸みを帯びた形で裂は浅め。表面は深い緑色、光沢がある。

外観:濃淡は中程度から濃いめの暗赤色。若いものはやや紫がかっているが紫の色調はそれほど強くない。粘性は強い。
栽培面積(ヘクタール) 16,595 ha
シノニム Calabrese/Calabrese Pizzutello/ Calabrese Pizzuto/ Calabrese d'Avola/Calabrese Dolce/Calabrese di Vittoria/Niureddu Calavrisi/Uva di San Marino
原産地呼称 DOCG Cerasuolo di Vittoria/DOC Alcamo/DOC Contea di Sclafani/DOC Contessa Entellina/DOC Delia Nivolelli/DOC Eloro/DOC Erice/DOC Mamertino di Melazzo/DOC Marsala/DOC Menfi/DOC Monreale//DOC Noto/DOC Riesi/DOC Salaparuta/DOC Sambuca di Sicilia/DOC Sciacca/DOC Sicilia/DOC Siracusa/DOC Terre di Cosenza/DOC Vittoria/DOC Bivongi/DOC Santa Margherita di Belice
Vino Hayashi
アナライズ
糖度 7.28%
酸度 0.82%
塩分濃度 0.09%
※Vino Hayashiが試飲した16本の平均値
ワインの特徴 赤ワインで、フルーティーでカジュアルなワインから熟成に向く力強いワインまで幅広く生産されている。シチリアの海に囲まれた大地で太陽の日照をしっかり受けたブドウらしく、暖かいトーンの果実味と甘いタンニンが特徴的で酸も豊かである。“シチリアのワイン”と一括りにされがちだが、広大なシチリアの中では西部や東部の土壌や気候の違いによっても印象が変わる上に、ステンレスやセメントタンク、木樽使用などの醸造上のテクニカルな要素が味わいにバリエーションをもたらしている。
香りの要素 良く熟したチェリーやプラム、それらを加工したジャムやコンポートのような甘い香りがしっかりと感じられるものが多い。時折、ハーブや植物系のやや青っぽい香り、ペッパーを感じることがある。特に樽熟成したものからは甘い香りのスパイス類(甘草、クローヴ、八角など)やチョコレートの香りが感じられる。熟成が進むとなめし革やタバコ、ナッツの香りに発展していた。また、ネロ・ダーヴォラの甘い香りは、シチリア南東部でよく見かけるカッルーバ(イナゴマメ)の実を連想させる。
Vino Hayashi
サジェスチョン
(アッビナメント)
Beccafico(ベッカフィーコ)/Involtini alla Siciliana(シチリア風インボルティーニ)。
魚介のスープ/カポナータ/アランチーニ/蛸のグリルなど。
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