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Montepulciano

モンテプルチアーノ

モンテプルチアーノ (Montepulciano)
                                                                                                                                                                                                                                                                       
ブドウの種別
歴史/概要/解説 歴史:モンテプルチャーノはサンジョヴェーゼと共にイタリア中部の代表的なブドウ品種であり、この二つの品種は非常に関係性が深く、長きにわたって勘違いされてきた歴史を持つ。
モンテプルチャーノはアブルッツォ州の土着品種で、おそらく1900年代初頭にTorre de' Passeri(トッレ・デ・パッセリ)あるいは近くのConca Peligna(ペリーニャ谷)からアブルッツォ州全体及びマルケ州南部に広まったとされる。しかし、アブルッツォ州の土着品種であるという事実が公的に認められたのは1968年になってからである。長い間、不幸な歴史の積み重ねにより、サンジョヴェーゼと混同され続けてきた。ローマ法王パウルス3世のワイン係サンテ・ランチェリオ氏は、1500年代半ば、トスカーナに位置するモンテプルチャーノ村のワインはモンテプルチャーノ種で造られていると公言していた。しかしながら、実際はサンジョヴェーゼ種で造られていた。トスカーナのこの品種(サンジョヴェーゼ)の普及につれ二つの品種の混同はさらに広がり、すべてがモンテプルチャーノと呼ばれ続け、さらなる混乱を極めた。
1900年代初頭になっても、著名なブドウ品種学者たちの間ですら、モンテプルチャーノ、サンジョヴェーゼ、プルニョーロ・ジェンティーレの違いはまだ明確化されていなかった。1875年の書簡にモンテプルチャーノ・コルディスコという名でモンテプルチャーノ種についての正しい記述がされていた事実を、最近になってジャンカルロ・モレッティ氏が提唱した。また、1792年にトルチャ氏によって書かれた「ペリーニ国への旅行記」、1820年にデュリーニ男爵によって書かれた「アブルッツォワインについて」、1853年にセラフィーニ氏が書いた「1852年のスルモーナ史について」において、既にモンテプルチャーノとサンジョヴェーゼは別々の品種として認識されていたと分かった。 特にセラフィーニ氏は書簡の中で、サンジョヴェーゼ種をモンテプルチャーノ・プリマティッチョ、モンテプルチャーノ種をモンテプルチャーノ・コルディスコと呼んで分類した。 結論として、これら二つの品種は無情にも歴史的に一緒くたにされてきたものの、現在ではモンテプルチャーノとサンジョヴェーゼは共にイタリア中部の最良のブドウ品種であるのは明確である。モンテプルチャーノは1970年にイタリア全国ブドウ品種記録書に登録された。
アドリア海側では35,000ヘクタールもの畑にモンテプルチャーノが栽培されており、イタリア中部ではサンジョヴェーゼの次に普及しているブドウ品種である。モンテプルチャーノ・ダブルッツォ(アブルッツォのモンテプルチャーノの意)というそのままの名前のDOCが存在するのも、多くのアブルッツォ人が赤ワイン=モンテプルチャーノと同義として捉えてきたからである。

房:果房の大きさは中程度、円錐形かピラミッド形で緊密度は高い。ほとんどの場合岐肩がある。果粒の大きさも中程度でやや楕円形をしており、皮は厚く黒みがかった紫色で、表面が蠟質の白い粉で覆われている。モンテプルチャーノの成熟は10月上旬と遅め。

葉:葉の大きさは中程度で、五角形で五裂している。表面が凸凹しており濃い緑色。

外観:しっかりとした濃い色合いで、若い段階は紫がかったルビー~ガーネット色で、鮮やかに輝く。黒みを帯びて、グラスの向こうが透けて見えないほどの濃縮感のあるものも多く、粘性は高い。熟成感のあるものはオレンジがかり、落ち着いたガーネットの色調を持つ。
栽培面積(ヘクタール) 34824 ha
シノニム Montepulciano Spargolo/Africano/Morellone/Sangiovese Cordisco/Montepulciano d’Abruzzo/Uva Abruzzese
原産地呼称 DOCG Conero/DOCG Offida/DOCG Colline Teramane Montepulciano d’Abruzzo/DOC Rosso Conero/DOC I Terreni di Sanseverino/DOC Montepulciano d’Abruzzo/DOC Cerasuolo d’Abruzzo/DOC Controguerra/DOC Ortona/DOC Terre Tollesi/DOC Villamagna/DOC Abruzzo/DOC Colli Etruschi Viterbesi/DOC Pentro di Isernia/DOC Molise/DOC Biferno/DOC San Severo/DOC Esino/DOC Rosso Piceno/DOC Colli Maceratesi/DOC Colli della Sabina/DOC Cerveteri/DOC Tarquinia/DOC Colli Lanuvini/DOC Roma/DOC Castelli Romani/DOC Velletri/DOC Cori/DOC Colli Romagna Centrale/DOC Rosso Orvietano/DOC Grottino di Roccanova/DOC Cacc’e mmitte di Lucera/DOC Rosso di Cerignola/DOC Castel del Monte/DOC Gioia del Colle/DOC Gravina/DOC Lizzano/DOC Leverano/DOC Brindisi
ワインの特徴 モンテプルチャーノはイタリア中南部の品種として本来素朴な一面をもつが、現代の名だたる生産者たちはエレガントさやストラクチャー、口中での陰影をもった広がりなどポテンシャルを最大限に表現した長熟向けのワインに仕上げることに成功している。赤ワインは濃いルビー色で、長熟によりガーネット色に変化する。フルーティーな香り、特に赤系ベリー、さくらんぼ、アーモンド、スパイスのニュアンスが現れる。柔らかく、かつ密度の濃いタンニンが特徴。エキス分やアルコール度数が高いため、昔はブレンドとして使われることが多く、この品種独自の素晴らしさが理解されるには時間がかかった。白のスティルワインやスパークリングワインとして使用されることもあり、表現の幅が広い。伝統的にチェラスオーロ・ダブルッツォといったような秀逸なロゼワインとして醸造されることも忘れてはならない。
香りの要素 フルーツとスパイスの香りが主体。フルーツはブルーベリー、ラズベリー、カシス、ブラックチェリー、ブラックベリー、プルーンなど、その熟度により幅広く、スパイスはブラックペッパーを中心とする色とりどりのペッパー類。ハーブの香りを感じるものもある。樽熟成したものは、バニラ、ビターチョコレート、コーヒー、甘草など、熟成の進んだものは、腐葉土、なめし革、熟成肉、ヨードなどの複雑な香りに発展していた。
Vino Hayashi
サジェスチョン
(アッビナメント)
Pasta fresca al sugo di agnello(仔羊肉のソースの生パスタ)/Melanzane ripiene(ナスの詰め物)/Carne di agnello arrosto(仔羊のロースト)/Formaggio di pecora(羊乳のチーズ) /Faraona in salmì(ホロホロ鳥の煮込み)/Spezzatino al cinghiale(イノシシの角煮)。
ミートソースのパスタ/パルミジャーノ・レッジャーノやグラナ・パダーノなどのハードタイプのチーズ/牛13肉の赤ワイン煮込み。
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