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Lambrusco

ランブルスコ

ランブルスコ (Lambrusco)
                                                                                                                                                                                                                                                                       
ブドウの種別
歴史/概要/解説 歴史:ランブルスコ種は、主にエミリア=ロマーニャ州のパルマより東のレッジョ・エミリア県、モデナ県とロンバルディア州のマントヴァ県に栽培されている黒ブドウ土着品種群の総称である。とりわけ、これらのブドウ品種から造られる同名の微発泡性の赤ワインが有名なところだが、その使用品種も含め現在14のランブルスコ系品種が登録されている。
ランブルスコ種に関して様々な歴史的文献が残っているが、その起源はエトゥルスキの時代まで遡ると言われる。紀元前2世紀、大カトーの『De Agri Cultura(農業論)』という著書において「種から育った野生のブドウ樹」のことを意味するLabrusca(ラブルスカ)という名称が確認されている。中世にはボローニャのLambrusca(ランブルスカ)と呼ばれるブドウ樹から造られたワインについての文献が見つかり、さらに1596年にバッチ氏が、野生のブドウの樹のことではなく一種のブドウ品種のことをLambrusco(ランブルスコ)と呼称した。
長い歴史において、エミリア=ロマーニャ州のパダナ平野のような地域では、野生と栽培の線引きは非常に曖昧で、常に混乱をもたらしてきた。17世紀頃には、ようやく細かな品種分類や研究も行われるようになっていくが、当時でも50種類のランブルスコ種が存在し、そのうちの半数は白ブドウと言われる時代であった。その後、1906年にモロン氏が23種(うち白ブドウ1種)に訂正し、1960年代にはコズモ氏やポルシネッリ氏が、ランブルスコ種は10種のみで全て黒ブドウとした。2001年のカロ氏による著書では全8種と選定されたが、近年の更なる研究で登録品種の増減があり、現在の14種(※)に至ったとされる。

※Registro Nazionale delle Varietà di Viteに登録されているランブルスコ系品種

1960年代までは、ランブルスコ種のワインは収穫翌年の春にボトル詰めが行われていた。伝統的にボトルの中に糖と酵母を残し再発酵させるが、澱がボトル内に残り、夏の暑い時期に攪拌をしてしまうとワインの質が落ちる傾向があった。そのため市場では多くが量り売りに限定されており、ボトル詰めは家で行われていたという。
1970年代になると、畑や醸造施設へテクノロジーが導入され、ワイン醸造により注意を払えるようになった。専用のステンレスタンクでスパークリングの工程(タンク内二次発酵)を行うことが可能になり、ワイナリーでのボトル詰めも問題がなくなった。今日では、澱を残してボトル内の再発酵を必要とするランブルスコのワインは珍しくなった。

房:ランブルスコ・ディ・ソルバーラは果房は中程度の大きさ、形は長いピラミッド形。密着していない。果粒はやや大きめ、やや円形。果皮は黒みのある青色で、厚め。収穫の時期は、9月下旬~10月初旬。
ランブルスコ・サラミーノは果房はやや小さめ、形は円筒状かやや円錐状でコンパクト。果粒は中程度の大きさで、やや楕円形で不揃い。果皮は黒みのある青色で、特別厚くはないが固め。収穫の時期は、他のランブルスコ種よりもやや早く9月20日~10月初旬。
ランブルスコ・マエストリは果房は中程度の大きさ、形は円筒状か長いピラミッド形でややコンパクト。果粒はやや小さめ、やや楕円形。果皮は黒みのある青色で、厚い。収穫の時期は、9月25日~10月5日。
ランブルスコ・グラスパロッサは果房は中程度の大きさで形はピラミッド形。密着していない。果粒は中程度の大きさ、やや楕円形か円形。果皮は黒みのある青色で、厚く丈夫。収穫の時期は、一般的に9月30日~10月10日。

葉:ランブルスコ・ディ・ソルバーラはやや小さめ、五角形で浅く三裂している。緑色で、表面はなめらか。
ランブルスコ・サラミーノは中程度の大きさで、五角形で三裂または五裂している。深い緑色で、表面にぶつぶつがある。
ランブルスコ・マエストリは中程度の大きさで、浅く三裂している。深い緑色で、表面は無毛。
ランブルスコ・グラスパロッサは中程度の大きさで、丸みのある五角形で三裂している。深い緑色で、表面は波状に歪みがある。

外観:ランブルスコ・ディ・ソルバーラは淡く明るいルビーレッドの色調(ロゼに近い)。
ランブルスコ・サラミーノは紫がかった濃いルビーレッドの色調。
ランブルスコ・マエストリははっきりと紫がかった濃いルビーレッドの色調。
ランブルスコ・グラスパロッサはやや濃いルビーレッドの色調。
栽培面積(ヘクタール) ランブルスコ・ディ・ソルバーラは1,606 ha。ランブルスコ・サラミーノは5,003 ha。ランブルスコ・マエストリは2,223 ha。ランブルスコ・グラスパロッサは2,726 ha。
シノニム ランブルスコ・ディ・ソルバーラは Lambrusco Sorbarese。ランブルスコ・サラミーノは Lambrusco di Santa Croce/Lambrusco Galassi/Lambrushcino。ランブルスコ・マエストリはなし。ランブルスコ・グラスパロッサはLambrusco di Castelvetro/Groppello Grasparossa。
原産地呼称 DOC Colli di Scandiano e di Canossa/DOC Lambrusco di Sorbara/DOC Lambrusco Mantovano/DOC Lambrusco Salamino di Santa Croce/DOC Modena/DOC Reggiano/DOC Lambrusco Grasparossa di Castelvetro/DOC Colli di Parma
Vino Hayashi
アナライズ
糖度 8.17%
酸度 0.76%
塩分濃度 0.08%
※Vino Hayashiが試飲した20本の平均値
ワインの特徴 ランブルスコ・ディ・ソルバーラは微発泡性赤ワイン。ロゼのような淡いルビー色。際立った酸と上品な赤系果実や花束の香り。渇きが良く、優しいタンニンで心地よい飲み口。
ランブルスコ・サラミーノは微発泡性赤ワイン。サラミーノはソルバーラとグラスパロッサの中間のボディをもつ。熟した果実や上品な芳香性のある花の香り。ミネラルがあり、酸とタンニンのバランスが良く、中程度の構成。
ランブルスコ・マエストリは微発泡性赤ワイン。紫がかったやや濃いルビー色でフルーティー。フレッシュな花の香り。タンニンとアルコール感もあり、凝縮感を感じられる。
ランブルスコ・グラスパロッサは微発泡性赤ワイン。濃いルビー色でしっかりとした味わい。スミレなどの花の香り、赤系果実の充実した香りと味わい。タンニンも豊富で酸が支えている。
香りの要素 ランブルスコ・ディ・ソルバーラはフローラルでスミレの香りが感じられ、レッドチェリー、イチゴ、オレンジなどがミックスした甘やかなフルーツの香りもある。
ランブルスコ・サラミーノは赤~黒のさまざまなベリー類(森のベリー)とチェリー、スミレ、バラなどがある。
ランブルスコ・マエストリはフルーティーでフローラル。赤~黒の様々なベリー類、ブラックチェリー、スミレ、バブルガムのニュアンスもある。
ランブルスコ・グラスパロッサはイチゴ、ブルーベリー、カシス、ブラックチェリーなどのフルーツの香り、やや植物的な香りを持つものもある。
Vino Hayashi
サジェスチョン
(アッビナメント)
Tortellini in brodo(トルテッリーニ・イン・ブロード)/ Culatello di Zibello(クラテッロ・ディ・ジベッロ)
パニーノ/ボッリート・ミスト/パルミジャーノ・レッジャーノなど。
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