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Lagrein

ラグレイン

ラグレイン (Lagrein)
                                                                                                                                                                                                                                                                       
ブドウの種別
歴史/概要/解説 歴史: Lagreinは1970年に公的にブドウの品種登録がされた。Teroldego(テロルデゴ)とまだ名の知れない品種との交配品種とされている。近年の研究において、Lagreinの名称はドイツ語で「ラガリーナ谷」を意味する「Lagarino ラガリーノ」つまりトレント近郊の「Vallagarina ヴァッラガリーナ」に由来すると考えられている。Lagreinはその歴史において、いくつかの矛盾と疑問点を抱えた品種と言える。

ボルツァーノ平原でかなり古くからLagreinという品種が栽培されていたことが事実である一方で、1900年代前半までトレンティーノ地方でこの品種が栽培されていたことがないというのが確実とされている。冒頭の呼称の由来に関していえば、実際にトレントのMeano(メアノ)村でLagarinoと呼ばれる品種が栽培されてはいたが、実はこの品種は白ブドウであり、Vallagarinaつまりラガリーナ谷では一切知られていない品種とのことである。一般的には、その起源はギリシャの古代品種「Lagaritanos (Lagarinoラガリーノ)」にあるとの説が信じられている。紀元前3~4世紀頃、古代ギリシャ移民が海を渡って現在のバジリカータ州のイオニア海沿岸に建設したMagna Grecia(マーニャ・グレーチャ)と呼ばれる植民地居住地帯の一つ「Lagaria ラガーリア」において、持ち込まれたブドウの種から栽培していた品種であるという説である。

時代を経てアディジェ川を遡り、ヴェロネーゼ平野とロヴェレート丘陵地に到達し、やがてボルツァーノの盆地に根付いたと考えられている。Lagreinについて最初に記されているのは1097年刊行の書籍で、ボルツァーノ近郊グリエス(Gries)の修道院で栽培されていたとされている。1370年には、神聖ローマ皇帝・カルロ4世が、兵士へのワインの供給において、フルボディタイプのラグレインを禁止し、別の品種スキアーヴァで造られたよりライトなボディのワインへと切替えた。おそらくこれがきっかけで、Lagreinはロゼワインの醸造方法で造られるのが主流となり、「Kretzer クレッツェル」と呼ばれるようになったと考えられる。この名は発酵時のモストから果皮を取り除く際に使用していた籐で出来た棚の名前「Kroizere」に由来する。一方で、「Lagrein Dunkel ラグレイン・ドゥンケル」と呼ばれたフルボディタイプのワインは、貴族、王族、司教などを魅了したため、大変高価なものとなり当時一般市民へは流通されていなかった。その後、1526年に農民を中心とした反乱が起き、変革を指導した南チロル出身のミカエル・ガイスメイヤー氏の功績によってしだいに市民へ普及するようになる。

房:果房は短いもの(コルト)と細長いもの(ルンゴ)との2つのタイプがあり、基本的には中程度でピラミッド型。稀に円錐形もみられる。時に1つか2つの小さな岐肩をもつ。果粒も中程度の大きさの卵形で、密着度は中程度。 果皮は厚く青みがかった黒色。表面がやや蠟質の白い粉で覆われている。収穫時期は遅く10月中旬。

葉:葉の大きさは中より若干大きめ、五角形で三裂している。表面は無毛で滑らか、光沢のない深緑色。
栽培面積(ヘクタール) 654ha(2010)
シノニム Lagrain/Lagarino/Lagrein Langstieligen
原産地呼称 DOC Alto Adige Südtirol/DOC Trentino/DOC Valdadige/DOC Casteler
ワインの特徴 主に2種類のタイプが造られる。タンニンが強すぎる品種のため扱いが難しいとされており、1985年くらいまではロゼが主流であった。1960年からマセレーション(果皮浸漬)をする一般的な赤ワインのタイプも造られ始め、しだいにこのラグレイン・ドゥンケル(ラグレイン・スクーロ)のほうが普及していった。≪Lagrein Dunkel/Lagrein Scuro≫黒みがかった濃い深紫色。ステンレスタンクで醸造した場合は、若々しいフレッシュなワインが造られる。木樽を使用して熟成した場合は、厚みのあるボディがしっかりとしたワインとなる。≪Kretzer/Rosato/Rosè≫赤みがかった淡いルビー色。エレガントなタンニンがあり、フレッシュ感と柔らかいボディーが特徴。
香りの要素 ≪Lagrein Dunkel/Lagrein Scuro≫はブラックベリー、カシスなどの黒系果実やクランベリー、クローブやナツメグなどのスパイスの香り。≪Kretzer/Rosato/Rosè≫は通常はステンレスタンクで醸造されるが、木樽で熟成されると、ほんのり感じられる紫色の野菜のフレッシュな香りにバルサミコやチョコレートの香りのニュアンスも。
Vino Hayashi
サジェスチョン
(アッビナメント)
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