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Greco

グレコ

グレコ (Greco)
                                                                                                                                                                                                                                                                       
ブドウの種別
歴史/概要/解説 歴史:1970年にイタリア全国ブドウ品種記録書に登録されたグレコは、数百年間にわたりイタリアブドウ品種学に混乱をもたらしてきた。グレコ種の先祖になるブドウは約2500年前にギリシャ人入植者によっておそらくテッサリア地方のアミナエイオスの町からカンパーニア州にもたらされたのではないかと言われてきたが定かではなかった。古代ローマ政治家プリニウス氏及びコルメッラ氏によって既に示唆されていたアミネア・ジェミナ種がトゥーフォで栽培されているグレコと同類であると、1909年になってやっとカルルッチ氏によって明言された。アミネア・ジェミナ種は、岐肩が長く大きいため房が2つに見え、まるで双子の様であることからそのように呼ばれていた。(ジェミナはラテン語で双子の意)
ローマ詩人ヴェルギリウスの時代(紀元前70-19)から1900年代初期の間、そのアイディンティティが明確にされることがなかったものの、グレコと思われる品種で造られたワインの特徴を称える書類がたくさん残されている。1300~1400年の会計文書には、ナポリ港を通してグレコの輸出が盛んで、コンスタンティノープル(現在のイスタンブール)まで運ばれていたことが記されていた。1500年代前半にローマ法王パウルス3世はグレコワインを好み、その中でもグレコ・ディ・ソンマ、グレコ・ポジッリポ、グレコ・イスキアの三種類を日常的に愛飲し、グレコで目まで洗っていたと書かれている。
グレコに関してはシノニムはほとんどないが、異なる原産地名のついた多くの品種の呼び名が存在するため混乱が生じやすい。イタリア全国ブドウ品種記録書には、カラブリア州の「グレコ・ビアンコ」という品種も登録されているが、これはグレコとは別の品種を指す。またヴェネツィア共和国時代(1700年後半)には、東方諸国から輸入されたワインの人気が非常に高かったため様々なワインをグレコ(ギリシャの意)と名付けるようになり、東地中海の人気のパッシートワインを模倣して造られた甘口ワインもブドウ品種と関係なくグレコの呼び名が使われていたという。

房:小型の円筒形か円錐形で、粒は密着している。房が2つに見えるほど大きな岐肩が一つある。果粒も小型の球形で、やや蠟質の白い粉が表面に見られる。果皮は厚く、茶色い点のついた黄色がかったグリーン。成熟は10月後半と遅め。

葉:葉の大きさは中程度で、円形をしており、三裂たまに五裂している。葉の表側には毛はなく、緑色の葉脈がみえる。

外観:濃淡はやや淡い~やや濃い麦わら色。酸化熟成により黄金色を帯びやすく、その色の経年変化は比較的早いと思われる。粘性が高く、豊かなグリセリンを感じられるものも多い。
栽培面積(ヘクタール) 830 ha
シノニム Greco di Napoli/Greco della Torre/Greco di Somma/Grieco/Greco del Vesuvio/Greco di Tufo
原産地呼称 DOCG Greco di Tufo/DOC Irpinia/DOC Sannio/DOC Marino/DOC Vignanello/DOC Molise/DOC Gravina/DOC Bianco di Pitigliano/DOC Colline Lucchesi/DOC Cori/DOC Penisola Sorrentina/DOC Cilento/DOC Capri/DOC Roma/DOC Vesuvio
ワインの特徴 トゥーフォやサンタ・パオリーナなど適合する産地のグレコのワインは、黄金色がかった黄色で、フィアーノのような優美な香りはないものの、アーモンドやマルメロの実のニュアンスが感じられる凝縮したボディのある白ワインとなる。グレコは非常に醸造の難しい品種で、酸化しやすく褐色になりやすい。マヌエーラ・ピアンカステッリ女史はグレコ・ディ・トゥーフォについて次のように語る。「トゥーフォの独特なテロワールは、ワインに特有の香りやキャラクターを与える。フィアーノに比べると、気難しく、粗っぽく、香りがシンプルで表現するのが難しい。まるで、無口で才能に溢れた気難しい少年に似ている」
香りの要素 全体の印象は控えめでシンプル。ブドウの成熟度により、リンゴ、洋ナシ、かりん、モモ、アプリコットなど、印象が変わる。成熟度が高いと(または熟成により)、はちみつやアーモンドなど、甘く香ばしい香りが出やすい。
Vino Hayashi
サジェスチョン
(アッビナメント)
Frittura di pesce(魚介のフリット)/Spezzatino di vitello con piselli(ぶつ切り仔牛肉とグリーンピースの煮込み)/Baccalà(塩漬けにしたタラ)/Mozzarella fresca(フレッシュ モッツァレッラチーズ)/Pesce crudo(生のシーフード)/Pesci alla griglia(魚のグリル)/Pizza Napoletana(ナポリピッツァ)。
天ぷら/ロブスターのビスク/鶏肉のフリカッセ(クリームソース煮込み)/寿司/鶏やウサギなどの白身の肉料理。
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