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Gaglioppo

ガリオッポ

ガリオッポ (Gaglioppo)
                                                                                                                                                                                                                                                                       
ブドウの種別
歴史/概要/解説 歴史:ガリオッポは、主にカラブリア州のイオニア海に沿った地域にて栽培されている土着の黒ブドウ品種である。地域でも長い歴史を持つ主要の黒ブドウであり、古代ギリシャ人との関わ
りも強い。
紀元前8世紀後半より、古代ギリシャは現在のカラブリア州を含む南イタリアとシチリア島を大植民地化し、Magna Grecia(マーニャ・グレーチャ/大ギリシャ※1)を形成した。ガリオッポの栽培の盛んなカラブリア州チロ・マリーナ、かつての“クレミッサ”では同品種からKrimisa(クリミサ)と呼ばれる赤ワインを生産し名を轟かせた。当時行われていた古代オリンピックではKrimisaのワインが勝者へ授与されていたという(※2)。クレミッサの南のクロトーネ出身の“クロトンのミロン”はレスリング選手として6度の優勝を誇り、Krimisaワインを象徴する大使のような存在でもあった。そのほかにも、当時、クレミッサの北の港町シーバリはワイン商業の貿易港として機能しており、ギリシャ人たちは“Vinodotti”というテラコッタ製のパイプラインを作り、ガリオッポのKrimisaワインを船場近くまで輸送し、地中海全域へワインを輸出していたという。
19世紀後半、多くの土着品種と同様にフィロキセラによって甚大な被害も受け一時は廃れてしまったものの、近年そのポテンシャルが再脚光を浴びクローンの研究も進められるなど、国際的にも評価される南イタリアの土着品種の地位を確立している。
ガリオッポの名の由来には、諸説として2つある。1つは、“美しい足”という意のギリシャ語源である。美しく伸びるブドウの果梗を表したものとされる。もう1つは、地元の方言での“閉じた拳”というもので、ブドウの実がコンパクトに詰まっている様子から名付けられたとされる。
シチリア州で栽培されるフラッパートとは、形状、遺伝的にも似ていることもあり長く混同されてきたがシノニムではない。カラブリア州以外にも、マルケ州、カンパーニア州、シチリア州などで栽培されている。1970年にイタリア全国ブドウ品種登録書に登録された。

※1 ラテン語 Magna Graecia(マグナ・グラエキア)
※2 2004年のアテネオリンピックでは勝者へガリオッポ種の銘柄DOCチロが授与された。

房:果房は中程度の大きさ、やや細長い円錐形でコンパクトな形状。果粒の大きさは小さめでやや楕円形をしている。果皮は中程度の厚さで、濃い黒紫色をしている。通常9月下旬~10月初旬頃に成熟する。

葉:大きさは中型か大型。丸みを帯びた形で三裂か五裂。表面は深い緑色、無毛でなめらか。

外観:濃淡は淡いものが多い。紫がかった色調は一部にしか見られず、ややオレンジ色を帯びたガーネット色の色合いのものが中心だった。酸化熟成による色調の変化は早そうだ。おおよそ粘性は強かった。
栽培面積(ヘクタール) 4,214 ha
シノニム Galloppo/Navarna/Lacrima/Mantonico Nero/Montonico Nero/Gaglioppa Nera/Galloffa/ Uva Navarra/Galloppolo/Gaglioppo di Cirò/ Gaioppo/Gaglioppo Nero/Gaglioppo Paesano/Gaglioppo Napolitano/Maghioccu Nero/Lacrima di Cosenza/Arvino/Aglianico di Cassano
原産地呼称 DOC Cirò/DOC Lamezia/DOC Melissa/DOC S.Anna di Isola Capo Rizzuto/DOC Terre di Cosenza/DOC Bivongi/DOC Savuto
Vino Hayashi
アナライズ
糖度 7.60%
酸度 0.91%
塩分濃度 0.11%
※Vino Hayashiが試飲した15本の平均値
ワインの特徴 イタリア半島部でも最も暖かい日照を受けるエリアの一つということもあり、赤系果実が良く熟したようなしっかりした味わいのワインが多い傾向がある。食事に合わせやすいシンプルなワインから樽熟成を経て凝縮感や複雑味のある長期熟成まで幅広いワインが生産される。
香りの要素 果実の香りは赤いフルーツを中心にしっかりと感じられた。レッドチェリー、ラズベリー、イチゴ、プラムなど、フレッシュというより、加熱したり、シロップやリキュールに漬けたりなど甘やかな香りとなってた。赤いバラの香りがあるが、ややしおれかけた印象で、ローズマリーやタイムのようなハーブ類の香りも特徴的だった。一部、ペッパー、甘草のスパイスと、なめしや肉類、ジビエのような熟成による香りもとることができた。
Vino Hayashi
サジェスチョン
(アッビナメント)
Arrosto di Agnello (羊のロースト)/Cavatelli Calabresi con Nduja (ンドゥイヤのカヴァテッリ)。   
茄子とチーズの肉団子/燻製チーズや熟成したペコリーノチーズなど。
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