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Friulano

フリウラーノ

フリウラーノ (Friulano)
                                                                                                                                                                                                                                                                       
ブドウの種別
歴史/概要/解説 歴史: ここ2世紀の長きに渡って、ヨーロッパ内の至るところでブドウ品種フリウラーノの起源について議論がなされてきた。というのも、イタリア・フリウリ州で親しまれてきたこの品種「Tocai Friulano (トカイ・フリウラーノ)」と、ハンガリーのトカイ(Tokaj)地区で造られる貴腐ワインで有名なトカイワイン「Tokaji」とが、別々の綴りながら同じ名称で呼ばれてきたことが原因である。

このトカイワインは「Furmint (フルミント)」と呼ばれる品種から造られるが、トカイとフルミントとどちらが先か後かという議論には諸説ある。トカイが先という説として、1632年、フリウリ・ゴリツィア県のFormentini伯爵が娘をハンガリーの伯爵に嫁がせる際、嫁入り道具としてトカイの苗木を持っていかせ、それが根付いて甘口貴腐ワイン「トカイ・アスー」が生み出されたとする説である。「Furmint (フルミント)」は伯爵の姓formentiniに由来するとされている。一方で、フルミントが先という説は、1860年代、フリウリがオーストリア=ハンガリー帝国領だった時代、Ottelio伯爵がハンガリーのトカイ地区からフルミントを運び、フリウリのトカイになったというものである。

いずれにせよ、1763年オーストリア軍の地図にはゴリツィア周辺に「Tokaier (トカイアー)」という集落の名が見られ、また1811年のナポレオンの地図にも同地域に「Toccai (トッカイ)」という名の小川や地名が確認されている。

1980年代に入り、アメリカ・カリフォルニア大学デービス校での研究において、「Tocai Friulano」はフランス・ボルドー地方の古代品種で現在はチリで栽培が盛んである「Sauvignonasse (ソーヴィニヨンナッセ)」(別名Sauvignon Vert)と同一種であるという見解が示されたが、当然のことながらイタリアの学者はこれに反対している。

1993年11月にハンガリー政府とEUがイタリア政府に対し、イタリアの品種名である「トカイ」とハンガリーの地域名である「トカイ」との混同を避けるために異議申し立てを行なう。その後、「トカイ」の呼称使用について幾度となく話し合いの場が設けられたが、イタリアは事実上敗訴。2006年7月4日にTocai Friulanoの同意語としてFriulanoが品種登録された。イタリア国内で販売されるワインには「Tocai Friulano」の呼称は継続して使用出来るが、2007年3月31日を期限として、イタリア国外へ輸出するワインには「Tocai」の名称を記載してはならないという規定が設けられた。また、イタリアそれぞれの地域で品種の呼称が異なり、フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州では「Friulano (フリウラーノ)」、ヴェネト州では「Tai (タイ)」と一般的に呼ばれることとなった。

房: 果房のサイズは中程度で、2つの岐肩を持つ円筒円錐形。 果粒も中程度の大きさで円形、やや密着型。 果皮はやや厚く、色はクローンや栽培地によって黄金色か緑色と異なる。表面が蠟質の白い粉で覆われている。 収穫は一般的に9月の第1週から第2週。

葉: 葉は大きめで、丸みを帯び五角形で三裂している。表面は毛がなく、光沢のない鮮やかな緑色。
栽培面積(ヘクタール) 2,911ha(2010)
シノニム Malaga/Trebianello/Tocai Bianco/Toca/Tocai Italico/Cinquien/Blanck Doux/Sauvignonasse/Sauvignon à Gros Grains/Sauvignon de la Corrèze/Sauvignon Vert
原産地呼称 DOCG Lison/DOCG Rosazzo/DOC Breganze/DOC Colli Berici/DOC COlli Euganei/DOC Collio Goriziano/DOC Corti Benedettine del Padovano/DOC Friuli Annia/DOC Garda/DOC Friuli Aquileia/DOC Friueli Colli Orientali/DOC Friuli Grave/DOC Isonzo del Friuli/DOC Friuli Latisana/DOC Lison Pramaggiore/DOC Merlara/DOC Piave/DOC Riviera del Brenta/DOC San Martino della Battaglia
ワインの特徴 酸もミネラルも比較的穏やかで、果実味も主張が強すぎることがないため、すべての要素がバランスよく表現されやすい。余韻のほろ苦さが一番の特徴。
軽く樽熟するとカリンの香りなどが現れほどよいボリュームを生むが、全体的に味わいの均衡がとれており突出した要素があまりないので、樽をかけすぎると品種の個性が薄れてしまう印象がある。
オレンジワインにするには、酸も果実味もやや穏やかすぎるか。
香りの要素 白い果実、グレープフルーツ、アーモンド、干し草、白い花など繊細で奥ゆかしい香り。
Vino Hayashi
サジェスチョン
(アッビナメント)
セロリや人参、ラディッシュなどを煮込んだポトフのようなお料理、ポテトやかぼちゃのニョッキ。
郷土料理のチャルソンス(シナモン・ミントを効かせたジャガイモの詰め物ラビーオリ。

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