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Dolcetto

ドルチェット

ドルチェット (Dolcetto)
                                                                                                                                                                                                                                                                       
ブドウの種別
歴史/概要/解説 歴史:ドルチェットは主にピエモンテ州(クーネオ県、アレッサンドリア県)とリグーリア州(インぺリア県、ジェノヴァ県)で栽培される黒ブドウ品種であり、15世紀ころにはすでに深く根付いていたと言われているがその起源はあまり知られていない。
ピエモンテ人はドルチェットを方言でドッセット等と呼び、ピエモンテ州のモンフェッラート(アレッサンドリア県)またはクーネオ県の土着品種だと信じている。
歴史的な記述としては、クーネオ県にあるサンタ・マルゲリータ教会から1248年に書かれた私信が発見され、小麦、豆、繭、くるみについての記載があり、続いて優れたブドウからドルチェットと呼ばれる絶妙なワインが造り出されると書かれている。さらに2014年に出版されたイアン・ダガタ氏の「イタリアの土着ブドウ品種」に、16世紀にデル・カッレット侯爵家(1251~1532年ピエモンテ南部と西リヴィエラを支配していた)によってリグーリア州へ運ばれたことを示す証拠があると書かれている。
一方リグーリア人もこの品種をオルメアスコと呼び、ポルナッシオ(インぺリア県)で何世紀にもわたって栽培ならびにワインの生産をしていることから、自分たちの地域の土着品種だと今でも信じている。ところがオルメアスコは、オルメアという町の名に由来すると言われており、この町はピエモンテ州に存在する。歴史的な記述として、「1303年にポルナッシオ周辺を支配していたフランチェスコ・ディ・クラヴェサーナ伯爵の意向により、ピエーヴェ・ディ・テコ地域にオルメアスコとイチジクの木を植えるよう命令が下された。さらに、完熟してから収穫させるために収穫日はフェスタ・ディ・サン・ラッファエーレ(9月29日)以降と決められた。」とある。
1906年に出版されたジローラモ・モロンの「ブドウ品種学と果実学」で、ドルチェットについてイタリア北部で最も栽培されているブドウ品種であると書かれている。ところが、フィロキセラの繁殖によって激減した。その後アメリカ製の台木を使いブドウ畑は復活を遂げたものの、生産者にはドルチェットよりも病気に強く生産性の高いバルベーラが好まれたそうだ。1970年にイタリア全国ブドウ品種記録書に登録された。

房:果房は中程度かやや大きめ。1つもしくは2つの大きな岐肩を持っている。着粒密度はやや低め。非常に長いピラミッド型。果粒の大きさは、通常は中程度で円形をしているが、同じ房の中で大きさにばらつきがある。果皮は薄く青みがかった紫色で、しっかり蝋粉で覆われている。通常9月中旬に成熟する。

葉:葉の大きさは中程度もしくはやや小さめ、形は少し幅の広いⅤの字で5裂している。表面は無毛で滑らかで裏面はわずかに膜が張っている。

外観:収穫から1~2年程度の若いヴィンテーのものが中心で、はっきりと紫がかった輝きのあるものが多い。濃淡は全体的にやや濃い傾向にあり、果皮に含まれるアントシアニン量が多いことが想像できる。ルビーレッド色を基調とし、粘性も強めである。
栽培面積(ヘクタール) 6,128 ha
シノニム Ormeasco
原産地呼称 DOCG Dogliani/DOCG Dolcetto di Diano d'Alba/DOCG Dolcetto di Ovada Superiore/DOC Dolcetto d'Acqui/DOC Dolcetto d'Alba/DOC Dolcetto d'Asti/DOC Dolcetto di Ovada/DOC Pornassio//DOC Pinerolese/DOC Colli Tortonesi/DOC Langhe/DOC Monferrato/DOC Piemonte/DOC Golfo del Tigullio-Portofino/DOC Val Polcevera/DOC Valsusa
Vino Hayashi
アナライズ
糖度 7.53%
酸度 0.65%
塩分濃度 0.07%
※Vino Hayashiが試飲した13本の平均値
ワインの特徴 ワインの色は濃く、紫がかったルビー色。香りはプルーン、桑の実等のベリー系、スパイス、アーモンドの皮や甘草のほろ苦さを感じる。味わいはドライでタンニンを感じるが、柔らかくて酸度は低い。ピエモンテ州はフルーティー、リグーリア州はハーバルでミネラルが多いという地域的な傾向もある。ドルチェ(Dolce)はイタリア語で甘味を意味するが、ドルチェットで造られたワインはドライで甘くはない。食用としても支持されている。
香りの要素 シンプルで森の果実とスミレの香りが特徴的だった。ブルーベリーを中心として、ラズベリー、レッドカラント、ブラックベリー、チェリー、プラムなど、果実の香りには幅があった。ややトマトやスイカなどの野菜やインクのような要素が感じられるものもあった。また、いくつかにはブラックペッパー、甘草などのスパイスや、ローズマリーのようなハーブの要素が存在した。
Vino Hayashi
サジェスチョン
(アッビナメント)
Coniglio alla griglia (ウサギのグリル)/Insalata Russa(ロシア風ポテトサラダ)/Vitello tonnato(ヴィテッロ・トンナート)/Lasagna al forno(ラザニア)。
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