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Cannonau

カンノナウ

カンノナウ (Cannonau)
                                                                                                                                                                                                                                                                       
ブドウの種別
歴史/概要/解説 歴史:カンノナウは、主にサルデーニャ州にて栽培されている土着の黒ブドウ品種である。同州で最も生産されている重要なブドウ品種であり、フランスのグルナッシュやスペインのガルナッチャなどのブドウ品種と形態学的に親和性があることがわかっている。その歴史については、アラゴン王国支配下の1400年代にスペインから持ち込まれたというスペイン起源説が長く定説であったが、近年の研究においては新たな説が有力視されている。
2002年に、ヌオーロ県ボーロレのDuos Nuraghesの遺跡では紀元前1300年に遡る多くのブドウの種子が発見され、そのいくつかの種子は現存する野生のブドウ品種系に属していた。中にはその品種系統とヴィティス・ヴィニフェラ系の品種との中間的な特徴を持つ種子も発見されたという。フランスの生物考古学者Philippe Marinvalは、野生品種とカンノナウ種である可能性を支持した。
その後、ミラノのビコッカ大学とCRAS※1(州立農業学研究所)およびサルデーニャ州の研究者Gianni Lovicu氏による調査においても、Villanovaforru、Villanovafranca、Nuraghe Arrubiu di Orroliなどの地域における遺跡の考古学的調査、発掘中にカンノナウと関連性の高いブドウの種子が発見された。その種子は、岩に掘られた井戸のような造りの“食料保管庫”で、他のナッツ類、マメ科の植物などと長期に渡り保存されたもので非常に状態が良く、ローマ人やフェニキア人が到着するかなり前にサルデーニャではブドウ栽培が行われていたことの証明となった。
このような発見と遺伝的研究、調査によってカンノナウは古くは東から伝わり、ワイン造りの伝統をもつサルデーニャ人によって栽培され、フェニキア人やスペインなどの植民者によって大きく広まったという説が支持されるようになった。
また、スペインのガルナッチャの赤ワインとしての最古の公式文書は1734年であるのに対し、サルデーニャにおけるカンノナウの最古の公式文書はカリアリの1549年であり、新たな説が支持される物証の1つとなっている。

※1 Centro Regionale Agrario Sperimentale

房:果房は中程度の大きさ、三角錐形でややタイトな形状。果粒の大きさは中程度で円に近い丸みのある形をしている。皮は中程度かやや薄めだが、一定の強度がある。やや黒みのある紫色。熟成は平均的かやや遅め、通常9月中旬頃に成熟する。

葉:大きさは中型。丸みを帯びた形で通常三裂。表面は光沢のある緑色で滑らか。

外観:濃淡は平均してやや淡い印象のものが多く、透明感のあるガーネット色である。若いヴィンテージでもややオレンジがかっている傾向にある。アントシアニン量が少なく、また酸化が進みやすいと思われる。粘性は強い。
栽培面積(ヘクタール) 5,322 ha
シノニム Alicante/Tocai Rosso di Barbarano/Garnaccia Tinta/Guarnaccia/Granaccia/Grenache/Gamay del Trasimeno/Gamay Perugino/Cannonaddu/Cannonadu Nieddu
原産地呼称 DOC Cannonau di Sardegna/DOC Mandrolisai
Vino Hayashi
アナライズ
糖度 7.44%
酸度 0.73%
塩分濃度 0.09%
※Vino Hayashiが試飲した12本の平均値
ワインの特徴 かつてのカンノナウのワインは、一般的にタフでアルコール感の強いワインというものが多くあったが、近代的な醸
造技術の導入もあり、フレッシュで果実味を心地よく楽しめるようなワインも多くなっている。軽快で軽い食事に合わせやすいものから重厚でメインの肉料理に合うようなものまでバリエーションが豊富である。フルボディタイプの中には、陰干しし糖度を高めたブドウから醸造したワイン(辛口のもの)もあり、熟成に向くメディテーションワインもある。
香りの要素 ラズベリー、イチゴ、レッドチェリー、レッドプラムなどの赤いフルーツを加工してジャムやコンポートにしたような甘い香り、凝縮感のあるものには黒系果実の要素もある。萎れかけたバラや牡丹を連想させる赤い花の香り、またホワイトペッパー、シナモン、甘草などのスパイス、一部にハーブ(ローズマリーやオレガノ)も感じられた。瓶熟成の進んだものは、なめし革、森の下草などがあった。
Vino Hayashi
サジェスチョン
(アッビナメント)
Porchetto allo Spiedo(仔豚の串焼き)/Malloreddus a sa Campidanesa(カンピダーノ風マッロレッドゥス)。
ウナギのグリル/熟成したチーズなど。
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