コラム

【ワインのペアリングとは?】5つの品種を例に考え方も伝授!

Vino Hayashiの営業・井手です。

この記事を読んでいる方にはご自宅でワインを嗜む愛好家の方もいれば、レストランでサービスマンとして働いている方もいらっしゃるでしょう。ただ共通しているのは、ワインのペアリングについて知りたいというところかと思います。

でも、どうぞご安心を!
ペアリング専門の営業をしている私が、そのコツを分かりやすくお伝えします。ぜひ少しずつ実践して、ワインのペアリングをマスターしてください!


目次

はじめに「ワインのペアリング」とは何なのか
ペアリングをマスターする3ステップ

ペアリングの仕組みを解明しよう
まずはブドウ品種の特徴を掴もう

ベスト&悪くない&ワーストペアリングと考え方のコツ

ペアリングをマスターして、食事の時間を至福の時間に!

 

はじめに「ワインのペアリング」とは何なのか

ワインのペアリングとは、料理と相性の良いワインを選んで組み合わせることをいいます。身近な例としては、自宅での食事に合うワインを選ぶとか、レストランのコース料理に合わせてソムリエの方が最適なワインを選ぶシーンが挙げられるでしょう。

 

料理とワインを組み合わせる「ペアリング」

 

私は営業職としてレストランのお客様にワインを販売していますが、同時にペアリングも任せていただいています。お店によって希望の価格帯やワインの構成といったニーズは様々。コース料理を見て相性の良いワインを提案しつつ、お皿の順番、ソースやガルニ(付け合わせ)のアドバイスを行うこともあります。

 

ペアリングをマスターする3ステップ

私がペアリングのためにやっているのは次の3ステップです。これを見ると、ペアリング作業は地味な作業の繰り返しとも言えるかもしれません。

 

1 食材を食べて

2 ワインを飲んで

3 感じるままにコメントを書く

 

この一連の作業を繰り返してアウトプットすることで、徐々に仕組みを理解することができるようになります。私はこれを繰り返していたら朝になっていたことがありますが…。

 

食材

 

ペアリングの仕組みを解明しよう

さて、上記のステップをもっと具体的に見ていきましょう。

今回はイタリアワインの「セクラ」というシリーズを例にペアリングのコツを伝授します。なぜセクラを例にするかというと、すべて単一のブドウ品種(一つの品種のみ)で造られていて、品種の個性を掴みやすいワインだから。しかもリーズナブルな価格とあって、すぐに3000本を完売したこともある大人気ワインです。

 

シチリアのハイコスパワイン「セクラ」シリーズ

 

今回、白ワインはシャルドネとグリッロの2品種、赤ワインはネロ・ダーヴォラ、メルロー、シラーの3品種を用意しました。これらを使ってペアリングを検証していきます。食材(料理)も同時に準備してあるので、ベスト&悪くない&ワーストのペアリングも後ほどご紹介します。

 

まずはブドウ品種の特徴を掴もう

私はペアリングを考えるとき、白ワインは8種類のジャンル、赤ワインは7種類のジャンルに分けて考えます。まずは今回登場するワインの特徴をブドウ品種ごとに見ていきましょう(ジャンル全てを解説すると文章量が凄まじいことになるので、別の記事で解説します!)

 

シャルドネ(白ワイン)

ジャンル :白い花の香り系ワイン

味わい:ジャスミンの様な白い花を思わす香り、酸味は柔らかくオイリーで苦味がしっかり残る、アフターの塩味が全体を引き締めて心地よい。

 

グリッロ(白ワイン)

ジャンル :柑橘系ワイン

味わい:オレンジ系の柑橘の酸味と果実味、オイリーなミネラルとアーモンドの様な苦味、アフターの塩味が心地よい。

関連記事:グリッロ(Grillo)について – イタリアワイン土着品種辞典

 

ネロ・ダーヴォラ(赤ワイン)

ジャンル :黒果実系で果実味とタンニン(渋み)が甘いタイプ

味わい:ブルーベリー系の香りとミント系のハーブの香り、柔らかい酸味が全体を引き締め、ブルーベリーの果実味と鉄分をしっかり感じる、アフターにセメント特有の旨味と塩味が心地よい。 タンニンは甘い。

関連記事:ネロ・ダーヴォラ(Nero d’Avola)について – イタリアワイン土着品種辞典

 

シラー(赤ワイン)

ジャンル :黒果実系で酸味・果実味・スパイス感が強いタイプ

味わい:イチゴとスミレと黒胡椒の香りをしっかり感じる。酸味も心地よく柔らかい、黒い果実味とタンニン(渋み)がバランス良く、まとわりつくような旨味と余韻が残ります。タンニンは甘いが少しドライ。

 

メルロー(赤ワイン)

ジャンル :黒果実系で酸味が丸く、果実味とスパイス感が強いタイプ

味わい:プラムやカシス感、熟したメロンの香りに鉄分の香りも混ざり、複雑で清涼感も感じる。酸味は丸く柔らかい、黒い果実味の中に鉄分とクローブがしっかり深みを形成する。アフターに果皮の旨味が強く出てくる。タンニン(渋み)はドライ。

 

ベスト&悪くない&ワーストペアリングと考え方のコツ

さあ、実際に料理とワインを合わせてみましょう!先述したブドウ品種の特徴と照らし合わせて、さまざまな組み合わせを試してみてください。今回の5つの品種を例に検証していきましょう。

 

シャルドネ(白い花の香り系)

ベストペアリング:
鳥もも肉グリル塩焼き 、生姜ニンニク唐揚げ、鯛や平目の刺身

悪くないペアリング:
ほうれん草の胡麻和え、タイ刺身、焼きイカ、豚テキロース塩焼き 、タコ刺身、和牛レア焼き

ワーストペアリング:
マグロ中トロ、サーモン刺身、焼き鳥タレ、鳥レバータレ 、塩サバ

 

「白い花の香り」が強く出るワインは、ジャスミンティーのような香りとラムネのような味わいを合わせるのがおすすめです。脂身の強いマッタリした魚(中トロやサーモン等)は臭みが出てギスギスしてしまうので合いません。

反対に鶏や豚の塩焼きをさっぱりさせ、ハーブ感で心地よくしてくれます。白味の魚(鯛や平目)はハーブでマリネにするとワインのジャスミン感が爽快に広がります。ほうれん草などの菜葉系などもハーブ感が心地よく伸びます。食材を食べた後に「ジャスミンティーが飲みたくなる!」ここがポイントです。


 

グリッロ(柑橘系)

ベストペアリング:

ほうれん草の胡麻和え 、鶏もも肉グリル塩焼き 、ローストビーフ、空豆、枝豆

悪くないペアリング:
鴨パストラミ胡椒 、和牛脂身 、筑前煮根菜

ワーストペアリング:
中トロ、サーモン刺身、タイ刺身、焼きイカ

 

柑橘系のワインのペアリングで分かりやすい考え方が「オレンジを絞って美味しいかどうか」です。柑橘系ワインには、特徴である酸味とアーモンドの様な苦味を合わせるのがおすすめ。ほうれん草やブロッコリー、枝豆や空豆などは苦味が補填されて相性抜群になります。春夏の苦味野菜に柑橘系ワインはベストマッチです。

また、塩味の焼き鳥も柑橘系ワインとの相性抜群。和牛などの脂身もサッパリさせてくれます。


 

ネロ・ダーヴォラ(黒果実系で果実味とタンニンが甘い)

ベストペアリング:
トンテキ(塩焼き)、牛肉赤身(塩焼き)、和牛レア焼き(塩)、鴨パストラミ、マグロ中トロ(醤油)

悪くないペアリング:タイの刺身、焼き鳥塩、茹でタコ刺身

ワーストペアリング:イカ焼き(醤油)、塩サバ、シシャモ、和牛脂身

 

黒果実系で果実味とタンニンが甘いワインは「ブルーベリーソースを付けて食べても美味しいと感じる組み合わせ」がベストペアリングになります。酸味とブルーベリーのような果実味、鉄分、甘いタンニンを生かすペアリングを考えてみましょう。例としては、豚肉や牛肉の淡白な部位、鴨肉、中トロなど。果実味系ワインの特徴を生かした補填のペアリングです。豚や鴨は鉄分の強い食材なので、ワインも鉄分を感じられるものが良い組み合わせになります。

中トロについては白ワインのほうがいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。ただ、マグロの脂身は臭みも含むため、白ワインの多くがボリューム負けして臭みが出てしまいます。したがってボリューム感のある赤ワインで合わせるのがおすすめです。酸味とタンニンが柔らかく、甘みの強いワインを選びましょう。マグロやカツオなど、赤身の刺身はブルーベリー系ワインがおすすめです。


 

シラー(黒果実系で酸味・果実味・スパイス感が強い)

ベストペアリング:いか焼き(醤油)トンテキ(塩焼き)、ローストビーフ、鳥レバー(タレ)、鴨パストラミ

悪くないペアリング:和牛レア焼き、和牛脂身、牛肉赤身(塩焼き)、塩サバ

ワーストペアリング:シシャモ、焼き鳥(塩)

 

シラーのペアリングのコツは「料理とイチゴソースと合わせて美味しいかどうか」です。まず、シラーは牛肉全般との相性が非常に良いです。豚肉もイチゴの香りで臭みを消し、旨味が強いワインなのでアフターに甘いタンニンと旨味が調和します。

驚いたのが、イカ焼き(醤油)と相性抜群だったこと。鉄分の強いワインだと臭みが出ますが、このワインは鉄分が強くないので、後に残る旨味とイカの出汁感が見事に同調しました。似た味わいの茹でタコとの相性も良いです。鴨やレバーも鉄分系の食材の臭みをイチゴソースが清涼感に変えてくれます。旨味と甘味の同調が長く続きます。

中トロについても、魚の臭みをイチゴ感が消します(ワインが勝ちますが)。塩サバもイチゴ感で臭みを消しながらマッタリと旨味を同調させました。今回のワイン5品種の中でいちばん、肉と魚の両方にマッチします。恐るべしイチゴ感!


 

メルロー(黒果実系で酸味が丸く、果実味とスパイス感が強い)

ベストペアリング:和牛赤身(塩焼き)、鳥レバー(タレ)、鴨パストラミ、和牛脂身

悪くないペアリング:和牛レア焼き、市販のローストビーフ、トンテキ(塩)

ワーストペアリング:タイ刺身、塩サバ、シシャモ、焼き鳥(塩)

 

黒果実系で酸味が丸く、果実味とスパイス感が強いタイプのワインは、基本的に牛肉との相性が良いです。ただし、淡白な部位のレア焼き(赤身やローストビーフ)だと食材がボリューム負けしてしまいます。よりボリュームのある脂身や、モソモソと纏わりつくレバー、和牛の焼き肉を合わせるのがおすすめ。クローブや黒胡椒といったワインのスパイス感が肉の臭みを消して旨みを広げてくれます。鉄分が強い鴨肉と合わせても同調し、とても心地よいです。

黒スパイス感と鉄分は、肉と合わせるときに大切な要素です。例えば牛肉に合わせるときは「お肉の脂肪が多いか少ないか」を、次のように考えてみてください。

脂肪が多い(和牛サシ入り)=赤ワインのタンニン(渋み)が強くドライなタイプ
脂肪が少ない(和牛赤身)=赤ワインのタンニンが柔らかくて甘いタイプ

 

ペアリングをマスターして、食事の時間を至福の時間に!

いかがでしたか? ワインのペアリングについて、少しでも参考になればと思います。食材とワインがイキイキと口の中でマリアージュされる感動は、食事の時間を至福のひとときに変えてくれます。ぜひペアリングをマスターして、豊かな時間をお過ごしください。

今回ご紹介したセクラシリーズの5つの品種は個性が強いので、ペアリングすると食材との相性がハッキリ出ます。スーパーで買える食材で検証しているので、ご興味ある方はぜひ一度お試しください。

 


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